これは、すごい。
NPOとか興味ないと、手に取らなそうなタイトルですが、そこが損をしています。
コロナ禍の前に発売されたのですが、次世代のキャリア構築について他の本やネットにはない情報が多く書かれています。
逆に言うならば、コロナ禍で、この本が訴えたかったことが正しいことが証明されたようにも感じます。
それぐらい、すごいんだもの。
NPOの知識はもちろん、それ以上に、キャリアについてとても考えた一冊でした。
目次と概要
こちらの本は筑摩書房より2017年2月10日に初版が出版されました。
筑摩書房さんの本を紹介するのは、今回初めてです。
著者紹介にはこのように記載があります。
大阪府生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。現在、同志社大学社会学部産業関係学科准教授。労働市場の流動化を背景に、労働者が生涯にわたって様々な移動を繰り返しつつ持続的にキャリアを形成する過程を、学校、企業、創業、インターバルなどのキャリアステージを拠点に分析し、社会における適材適所の達成を研究している。主な共著に西村和雄編『「本当の生きる力」を与える教育とは』、伊藤隆敏・西村和雄編『教育改革の経済学』(いずれも日本経済新聞社)などがある。
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480689771/
いままで読んだ本は、カウンセラーとかそういう系統の方でしたが、経済専攻しつつの、社会学が専門ということで、系統が違うというか、切り口が違う本でだと感じていたのですが、なんだ、そういうことだったのか。
そして、目次です。
はじめに 普通に働く、が難しい
第1章 多様化する就業とキャリア
第2章 NPOという道もある?
第3章 “若者”キャリアの選択肢としてのNPO
第4章 “女性・男性”ワークライフバランスとNPO
第5章 “高齢者”セカンドキャリアとNPO
終章 自分のキャリアを「創る」には
おわりに 普通に働く、を超えて
意外とあっさり。
今回はNPOとキャリアというタイトルから興味を持てたのですが、そうじゃなきゃ、たぶん、目次だけ見て、この本を手に取ることはなかったかなぁ。
強烈に印象的だった一文をあげると……
この本で1つだけ感銘を受けた文章をあげるとしたら、こちらです。
サイズの合わない服を直して着るのにも限度があるように、企業で輝くことだけを目指すのでは限界があります。
P143
これ、企業の経営者や人事担当に真っ向から言うとかなり不評を買うと思います。
みんな感じているんで、余計ね。
だからこそ、現実をまだ直視できない人にとっては、かなりキツイような気もします。
ボクも発売当初に読んだら、ちょっとイラっとしていたかもしれません。
ですが、時代はコロナ後。
そのひと段落後であり、この本で書かれていることが現実として生じていたり、社会問題としてあったりする現在でもあります。
女性の社会進出とか、管理職について書いてある章が4章なのですが、そういった現実的なことがきちんと書かれています。(たぶん、女性で最近、昇進したり、管理職の女性の割合を上げるとか、なんとなく持ち上げられているかしらと思う方は、4章は読まない方がいいようにも。)
そのあたりを著者の女性が言ってしまうあたり、また、それが的確だったりするんで、ただただビックリでした。
本の構成がちょっと悪く、そうは言っても、P188で10行目でかなり労働者にエールを送っていたりもしていて、なので、4章で脱落しないにも、この本のおすすめな読み方は、
終章 → 第1章 →・・・
です。この順番に読むと、著者の言いたいことを誤解することなく、嫌な気落ちになることなく、受け止めることができると思います。
では、ここでクエスチョンです
人にとって生きる上で欠かせない2つの要素とはなんでしょうか?
答えはP20にあります。
1つは、「生計を立てる」こと。
つまり、お金です。
そして、もう1つ、分かりますか?
この知識、この発想が、キャリアコンサルタントとしてあるかないか、人の伴走支援として、そういう考えがあるか、もう、なんか、惚れちゃうことが答えでした。
ちなみに、ボクは、ぼんやりとありました。
ただ、それを明確に言葉にすることができていたかというと、この本に出合うまではありませんでした。
そう、つまり、みんな、なんとなく思っていることなんですよ、答えは。
だけど、それよりも、お金とか安定とか、そちらを優先しちゃう。
コロナ禍で、そのあたりはちょっと目覚めて、
「何のために働いているのかな? 生きているのかな?」
って感じだした方、多かったと思います。
それが、2023年5月にコロナが5類に移行されてから、やはり、お金とか安定とか、地位とか、名誉とか、そういったものに逆戻りしていっているんだと思います。
2年ぐらいかけて、コロナ禍で人として正常な方向に、思考して、もうちょっとでたどり着くところで、この半年で日常生活の逆戻り。
そういう今だからこそ、コロナ禍の2年は一体なんだったのか、そういう反省と気づきが多い1冊でした。
もちろん、ボクはこの本でNPOの知識をつける為に手に取ったので、それについても十分考えることができました。
最終的に、一歩前に進むことができたのは、この本との出会いだったように思い、感謝しています。