<これは納得、参りました……>【参考書】プロが教える共感的カウンセリングの面接術

参考本
この記事は約13分で読めます。

「傾聴」について、もう少し日常生活寄りというか、理解しやすいものがないかと探していました。

そんな中、「子ども・パートナー」という言葉がタイトルに入っていたものを発見!

カウンセリングの教科書上では、身内へはタブー視されていたはずなのに。

「なんで?」

 

目次と概要

2019年6月15日に初版が、誠信書房から発行された本です。

構成はこんな感じです。

目次

はじめに

第1章 悩み相談とプロのカウンセリングの違い
 1 悩み相談とプロのカウンセリングは何が違うのか
 2 あるテレビの人生相談から
 3 カウンセリングは変容の過程

第2章 共感的カウンセリングにおける倫理
 1 倫理の前提
 2 秘密保持原則
 3 自傷の危険性がある場合
 4 秘密保持に関する倫理的ジレンマ
 5 カウンセラー自身が持つ未解決の心理的問題
 6 カウンセラーにかかる情緒的ストレス
 7 来談者とのカウンセリング外関係
 8 来談者との性的関係

第3章 人間の心の成り立ち
 1 理論がなぜ大切か
 2 人は人の間で傷つき、人の間で癒やされる
 3 深く強烈な四つの心理的衝動①――自己実現を求める衝動
 4 深く強烈な四つの心理的衝動②――無条件の愛を求める欲求
 5 深く強烈な四つの心理的衝動③――「自分を表現したい」と求める衝動
 6 深く強烈な四つの心理的衝動④――「傷つきたくない、変化するのは怖い」と求める衝動
 7 抑圧の源は親子関係
 8 なぜ人は、共感的カウンセリングを通して変化するのか

第4章 共感
 1 感情の量ではなく、質を味わう
 2 来談者と一緒になって怒ることが共感ではない
 3 共感と観察の両方が必要
 4 来談者の矛盾する感情や思考に共感する
 5 共感できなかったカウンセラー
 6 共感は複数のチャンネルで伝わる
 7 共感的カウンセラーの身体
 8 共感するとつらくなる?
 9 理論は共感のためにある

第5章 無条件の受容
 1 受容と共感はセットで存在する
 2 無条件に受容しようという意図について
 3 真の自己肯定感とは
 4 変化には否定が含まれている
 5 来談者を変えたくなるとき
 6 共感的カウンセリングでは来談者に何をするのか
 7 アドバイスをしてはいけないというルールがある?
 8 来談者の心にどんな変化が起きるか
 9 共感と無条件の受容はすぐには伝わらない

第6章 防衛と抵抗
 1 防衛とは
 2 ある感情を避けるために、別の感情を利用することがある
 3 カウンセラー自身の防衛
 4 抵抗とは何か
 5 抵抗の表れ方

第7章 転移とは何か
 1 陽性転移
 2 陰性転移
 3 陽性転移と陰性転移は同時に存在する
 4 転移反応への対応において留意すべきこと①――転移であるという事実を理解する
 5 転移反応への対応において留意すべきこと②――来談者の孤独感に共感する
 6 転移反応への対応において留意すべきこと③――カウンセリングの枠を守る
 7 カウンセリングにおいて留意すべきこと①――転移関係における新しい経験が、癒やしと変容をも
   たらすことを理解する
 8 カウンセリングにおいて留意すべきこと②――転移感情を十分に話せるよう応答する
 9 カウンセリングのおいて留意すべきこと③――自分自身の未解決の心の葛藤を高い程度に解決する

第8章 共感的カウンセリングの実際1
 1 事例――男性が怖いと訴える女子大生とのカウンセリング対話
 2 解説――女子大生とのカウンセリング対話
 3 セッションの終わり方
 4 治療同盟について

第9章 共感的カウンセリングの実際2
 1 事例――非行少年と呼ばれた男子中学生とのカウンセリング対話
 2 解説――男子中学生とのカウンセリング対話

第10章 来談者の質問にはどう対応すればいいか
 1 来談者の質問は何かの婉曲な表現
 2 私の失敗から
 3 質問が不安の表れであるとき
 4 カウンセラーの意見を求めているように見える来談者
 5 質問がカウンセラーへの不信感の表現である場合
 6 質問することが来談者の不適応パターンの表れ
 7 質問が何の表現であるかがわからないとき
 8 質問に答えたくなる心理

第11章 インテーク面接
 1 インテーク面接とカウンセリング面接は違うもの?
 2 インテーク面接の目的
 3 インテーク面接の特徴
 4 インテーク面接の目標
 5 ネガティブな思いに対応する
 6 初回面接から来談者の転移が表れる
 7 来談者についての情報を集めるとはどういうことか
 8 初回面接における対話例
 9 カウンセリング契約
 10 危機介入
 11 自殺危険度のアセスメント

第12章 カウンセリングの終結
 1 共感的カウンセリングは終わらない
 2 終結は重要なカウンセリング過程のひとつ
 3 カウンセリングを後に再開することもある
 4 終結時期を確認する
 5 終結の課題
 6 うまく終結できなかった私の経験

第13章 共感的カウンセリングの実践に関わる諸問題
 1 カウンセリングの「枠」について
 2 面接の頻度について
 3 沈黙
 4 話さない来談者への対応について
 5 来談者の不満を汲み取る
 6 共感的カウンセリングにおける恥の意識
 7 来談者が語りすぎたと感じているとき
 8 逆転移がカウンセリングをさまたげる
 9 逆転移をカウンセリングに活かす
 10 協働関係

第14章 力のつくトレーニング
 1 カウンセリング効果を左右するのは、流派よりもカウンセラー自身
 2 意識
 3 援助力の高いカウンセラーになるトレーニングの四つの柱
 4 援助力を高めるトレーニングの四つの柱①――カウンセリングを受けることを通して心の癒やしと成長に取り組む
 5 援助力を高めるトレーニングの四つの柱②――実践に役立つ理論の学びをする
 6 援助力を高めるトレーニングの四つの柱③――面接の練習を繰り返す
 7 援助力を高めるトレーニングの四つの柱④――カウンセリングを行って個人指導(個人スーパービジョン)を受ける
 8 おわりに

文献
おわりに
謝辞

 

ホームページに掲載されている目次情報で紹介がありましたが、これだけ見ても、興味を持たれる方、多いのではないでしょうか?

全16章の301ページなので、ボリューム満点ですね。

ただ、意外と読みやすく柔らかい語り口調の本なので、あっという間に読むことができました。

 

他にはない3つのポイント

キャリアコンサルタントを目指す方、なって間もない方には、かなず、次の疑問が出てくると思います。

 ・実際のカウンセリングはどのように進行しているのか?
 ・相談者から質問を受けたら、どう対応したらよいのか?
 ・守秘義務等の契約について、どのようにすれば安全?

養成講座で質問したり、ネットで調べたりするのですが、なかなか的を得た回答はないものです。

この本では、それぞれの質問について、明確に答えがあります。

 ・第8章 共感的カウンセリングの実際1
 ・第10章 来談者の質問にはどう対応すればいいか
 ・第11章 インテーク面接

なので、キャリアコンサルタントの受験生や、キャリコンになったばかりの方は、この8章、10章、11章を先にざっと見ておくと良いかと思います。

 

カウンセリング契約の例

具体的に言うと、P245・245にカウンセリング契約書の例があります。

守秘義務とかお互いに安心してカウンセリングをするための同意事項になるのですが、この例では、

 「なんとなく」が「明確化」

されています。

あとで後悔やトラブルになることを回避するために、実務ではどういうところに気つけなければいけないかというのがわずか2ページですが、濃厚な2ページとして記載されていました。

このために、この本を買う価値があるとも感じました。

  

強烈に印象的だった一文をあげると……

この本で1つだけ感銘を受けた文章をあげるとしたら、こちらです。

たとえば、赤ちゃんが雷が怖くてパニックになって泣くのを見て、お母さんが赤ちゃんを抱きあげ「よしよし」となだめるとき、お母さんは赤ちゃんの恐怖を想像して感じています。

P62

そう、つまり「共感」ってどういうことかを一言で表すと、こういうことなんです。

で、最も重要なのが、上の文章の次からの説明にあたる部分となります。

P62~P63がこの本の最も重要な部分であり、ボクが「参りました」と思わず言ってしまったぐらいの「共感」に関しての本質がここに書かれていました。

確かに、同じことはロジャーズも話しています。

キャリアコンサルタント養成講座のテキストにも載っていました。

ですが、この本のP62の最後から1行目からP63の7行目までのロジャーズの引用はいままで多くの本を読みましたが、どこにも書いていませんでした。

そして、ここが理解できたら、P63からの

「2 来談者と一緒になって怒ることが共感ではない」

というのが、バツグンに理解でき、また、「あたかも○○のように」がつまりはどういうことなのかが分かるようになります。

  

では、ここでクエスチョンです

悩み相談と有能なプロのカウンセリングは、何が違うのでしょうか?

この答えはP1に概要が書かれています。

そして、この本を読み終えたあと、もう一度、P1に戻ってくると、あなた自身、大きく成長したことが実感できると思います。ボクはそうでした。

「ホウレンソウ」って言うのが、ボクが社会人になったときに、新入社員研修でまず習ったことでした。

これは語呂合わせで、

 報告、連絡、相談

の先頭に文字を取って、「ホウレンソウ」。

困ったら、上司にするにこの3つをするというルールだったのですが、「相談」は実際のところ、あまり役に立ちませんでした。

あのとき、どうしてそう感じたのかなっていう答えがもう20数年経過したのですが、この本に書いてあり、妙に納得しまた一冊でもありました。

タイトルとURLをコピーしました