シャインといえば「キャリア・アンカー」「ロール・マップ」「外的キャリア」「内的キャリア」「キャリア・ダイナミクス」といった感じで用語がたくさんでてきます。
一応、キャリアコンサルタント試験対策として、暗記を試みたのですが、どうもしっくりと来なくて悩んでいました。
シャインの著書で翻訳がないかなと思って本を探していたところ、うってつけの本がありました!
「シャイン博士が語る」とあるだけに、これほど分かりやすい本はありません。
裏表紙に
本書は、日本人キャリア・カウンセラーのために行われた、シャインによるワークショップをもとに書籍化されたものです。
と書かれているだけに、「日本人」の「キャリア・カウンセラー」のための本でした。
さて、出版社は白桃書房。
ボクは、はじめて知ったのですが、人事系の本をたくさん出している出版社でした。
目次と概要
2017年1月16日に初版が、白桃書房より発行された本です。
ざっとですが、この本の構成です。
目次
第1章 キャリア・アンカーによって自分を知る
キャリア・アンカーという概念の起源
キャリア・アンカーの構成要素
ほか
第2章 ジョブ・ロール・アナリシスによる個人と組織のマッチング
マッチング・プロセスの向上に必要なもの
マッチングのジレンマ
ほか
第3章 キャリア・ダイナミクスとマッチングのプロセス
個人と組織のマッチングの問題
キャリア・ダイナミクスの要素
ほか
座談会 ポスト・キャリア・アンカー:これからのキャリア・カウンセラーの役割
社会学的なキャリア研究の重要性
組織社会化のアウトソーシング
ほか
なんか、章が少ないような印象をもたれたかもしれませんね。
そーなんです。
この本ですが、ボクがいままで読んだ中で一番薄いかもしれません。
総ページ数は80ちょっと。
ただ、付箋はバッシバッシはっていきました。
たぶん、日本語訳になっているんでしょうか、やはり正真正銘のシャインが語っているだけにあって、本質がズババと記載されており、どれもこれも重要でした。
著者はもちろん、エドガー H. シャインさん(メッセージあり)
理論学習をしている歴史上の人物の理論が多かったのですが、シャインさんはまだこの世界にいる!
そして、youtubeでも見ることができます!
もちろん、youtubeなので、自動翻訳の設定できますから、字幕で日本語表示すりゃあ、ばっちりです。
このシャインのメッセージを読んだあと、本を読んだのですが、すると、とても理解しやすかったです。(ちなみに、本に上の動画の紹介はなく、自力で探しました。)
強烈に印象的だった一文をあげると……
この本で1つだけ感銘を受けた文章をあげるとしたら、こちらです。
エドガー H. シャインには個人、グループ、組織、それぞれについて素晴らしい著者がありますが、日本では、それらの理論がバラバラにそれぞれの各分野の専門家だけに知られているといった状況です。
P1
冒頭のはじめのはじめのこの一文にドキッとしました。
それでは、シャインの理論を学ぶのが難しいのかと、納得できました。
実際、ネットで調べると、シャインの理論に一貫性がなく、確かに個人と組織での解釈で競合していたり、食い違っていたりで、理解するのが一筋縄ではいかない……以前に、理解できないことが多くありました。
その原因が、この文で分かり、すっきりしました。
逆に言うと、
この本では、シャインの個人・グループ・組織の考え方に統一感があり
ということで、読んでみるとまさにその通りでした。
では、ここでクエスチョンです
キャリア・アンカーの診断はどのような方法が望ましいでしょうか?
この答えはP24に記載があります。
ボクは、キャリアコンサルタント養成講座で、キャリア・アンカーの診断簡易テストを自己診断でしたのですが、その方法は、シャインは間違っているっていうことなんですが、その理由がP24~25で書かれており、確かにその方法でないと意味がないなと感じました。
また、シャインが望んでいる診断方法が日本ではうまく伝わっていないという現実に、少しがっかりしました。
つまり、
シャインの理論の多くは日本では間違って伝わってしまっているのではないか?
と感じたりもしたのです。
この本を読んで、シャインが好きになりました。
いま、このコロナ禍の世の中をシャインも一緒に生きているということもそういう気持ちになった理由かもしれません。