キャリコン受験生時代、ロープレをみていた有資格者の方に、一喝されました。
「JCDA(日本キャリア開発協会)は経験代謝だから、気持ちをもっと聞かなければダメ」
って。
ですが、こちらの本を読むと、大嘘だったということが分かり、愕然としました。
JCDAは「気持ちを聴かなければいけない団体」じゃないよ
そういう指摘を受けてから、ボクの中ではいつの間にか、
JCDA(日本キャリア開発協会)=気持ちを聴かなければいけない団体
となってしまいました。
後々、ロープレ会でCC協議会を選んだ受験生と
「キャリコンの試験団体で、どうしてJCDAを選ばなかったの?」
と聞くと、同じような意見が多かったです。
どうも、キャリコンの受験勉強中にそういう刷り込みを知らず知らずのうちに受けていたみたいなんですが、そもそも
「気持ちを聴く」
ってなんやねん!
……って思いません?
日常生活で、そんなこと意識しないし、逆に「気持ちを聴かないと」って意識している人は芸能リポーターぐらい。
「いまのお気持ちは?」
そんなのってワイドショーぐらいでしか聞かないし。
でも、キャリコンのロープレをしていると、これを連呼する人もいるんですよね。
CC「今日はどういったご相談ですか?」
CL「転職しようか悩んでいるんです?」
CC「どんなお気持ちですか?」
CL「え……、いや、だから悩んでいるんですけど」
CC「そうなんですね、では、お気持ちを詳しく教えていただけますか?」
……ジョーダンでしょ? ネタですか?
って思われるかもしれませんが、実際にありますし、割と多くあります。
ロープレ会によっては、CC協議会とJCDAで分かれることがありますので、そうなると、ボクのようにCC協議会組のロープレ会では、この「お気持ち探り合い」はなくなりました。
一方で、JCDA組はどうだったんだろうなぁ。
そうそう、ロープレ会で思い出しました。
ロープレをしていると、お互いキャリコンを目指している受験生同志でのCC役とCL役なので、このやりとりには忖度(そんたく)が付いて回り、
CC「そうなんですね、では、お気持ちを詳しく教えていただけますか?」
に対して
CL「なんか、モヤモヤするっていうか」
CC「(よっしゃーー!)いま、モヤモヤっておっしゃいましたが、具体的に教えていただけますか?」
という感じで日常生活ではありえない会話が続いていきます。
ちなみに、「モヤモヤ」っていうフレーズ。
ボクは、キャリコンの勉強をしてはじめて知ったフレーズでした。
この「モヤモヤ」というのは、ロープレでは良く出てきますが、やはり日常生活ではあまり聞かなくないですか?
ま、いいや。
目次と概要
こちらの本は、金剛出版から2020年6月5日に初版が出版されました。
金剛出版さんから出ている本、ボクは初めて読んだのですが、ホームページを見ると、結構、興味深い本がたくさんありました。
さて、目次はこんな感じです。
目次
第1部基礎篇
第1章自己概念の成長――キャリアカウンセリングの目的
第2章経験代謝理論
第3章セルフスタディ・スーパービジョン(SSV)実施準備
第4章事例研究――ワークブック
第2部応用篇
第1章「レンズ」による自己評価
第2章スーパービジョン事例
「経験代謝」を知りたくて読んでいた本だったので、SSV(セルフスタディ・スーパービジョン)については、あまり期待してなかったのですが、資格を取ったら知っておいた方がよい知識だと感じました。
著者は「立野了嗣」さんだけど、読み方がわからない
著者は立野了嗣さんです。
名字は「たての」「たちの」「たつの」……なんて読むか分からなかったです。
さらに名前の「了嗣」もなんて読むか分からず。
本を最後まで読むと、P203に著者プロフィールがありました。
「たつの りょうじ」さん
と読むことが判明しました。
強烈に印象的だった一文をあげると……
この本で1つだけ感銘を受けた文章をあげるとしたら、こちらです。
キャリアカウンセリングは、個人の「つながり」を通し、社会へとつながっていく。
P7
あれ、あれれ?
ボクが思っていた(刷り込まれたというか)JCDAとはなんか違うぞ。
このページでは、こんな感じでまとめていました。
「カウンセリングを通して、まずは人と人。そこから、会社と会社、さらに組織と組織。そして国と国へのつながりへと展開する」
おぉ、そういう考えだったとは。
この考え方、けっこう好きです。
で、もうちょっと詳しく知りたくて、その視点でネットでいろいろ調べていくと、この動画を発見!
なぜか、JCDAのホームページからは見つけることができませんでしたが、Youtubeには日本キャリア開発協会(JCDA)からのメッセージムービーがありました。
この動画をもっと早く見つけていたら、JCDAで受験していたかもなぁ。
では、ここでクエスチョンです
面接の冒頭で相談者から「今の職場が合わなくて転職をしたいんです」と言われたら、どう思います?
これはP41に答えと解説が書いてあります。
そう、
話を聴く方向を間違えてしまうキャリアカウンセラーの例
も含めて。
CC協議会の面接試験対策的には、
「今の職場が合わなくて転職をしたいと考えて、こちらにいらっしゃたんですね」
から進めるんでしょうが、じゃあ、「JCDA的にはどういう流れなの?」っていう観点ではどうなるか?
これについてはこのページの解説から、勉強になりました。
最終的には、CC協議会とかJCDAとか団体は関係なく、「キャリアコンサルタントの心構え」のようなメッセージを立野さんは伝えている気がします。
「経験代謝」の説明がじっくり
「経験代謝」についてですが、P33~P55にかけて20ページで丁寧に説明がされていました。
はじめは「新陳代謝」からヒントを得たというそもそもの「経験代謝」がどういう考えから編み出されてきたか。
そのあと、キャリコン養成講座でも目にした「経験代謝サイクル」についてもひとつひとつの矢印の説明を細かく説明があります。
分かりやすいのは、「説明」だけではなく、「例」を使っての説明があったこと。
なんですが、ボクにはちょっと難しかったです。
おそらくは、CC協議会のシステマチックアプローチでずっと勉強してきて、ロープレもそれを意識して受験期を過ごしてきたので、いきなり、JCDAの「経験代謝」について説明されても、ピンと来なかったからだと思います。
逆に、JCDAを受験団体と決めたそこのあなた。
「経験代謝」の理解が必須であるのであれば、この本で基本的なことを学び、不明な点は養成学校の先生に聞いて知識を深めていくのが良い方法だと思います。
一つだけはっきりしたことは、この20ページあまりの記述をじっくりと読みましたが、
「経験代謝とは気持ちを聴くこと」
ということは一言も書いてありませんでした。
と、同時に、これは少し学んで分かったことですが、「経験」について学ぶと、この本にもP53で「経験の構造」ということで書いてありましたが、
「気持ちを聴くことの重要性」
については理解することができました。
ただ、それは「重要」ではあるものの「必須でも必要十分条件でもない」ようにボクはこの本から理解しています。
この重要性を理解すると、それを誰かに伝えたくなります。
その結果、
「気持ちを聴くこと」
っていうアドバイスになってしまうような気はなんとなくしました。
いつ読むか? いまじゃないでしょう!
こちらの本ですが、実は、一度受験生のときに読んでいました。
いや、正確にはパラパラと目を通した程度でして。
というのは、あまりに養成学校や口コミで聞いていたJCDAや経験代謝に関する情報と違い過ぎており、受け入れることができなかったんです。
読みながら、頭の中で情報が錯綜してしまい、返って混乱しちゃって。
なので、キャリコンの受験生には少し難しいように思います。
というか、ボクは受験生のときに読むことはお勧めしません。
受験勉強を終えて、改めて読んでみたのですが、それでも、やっぱり難しいところが多くありましたし。(まぁ、ボクの能力が著しく低いっていうこともあるかもしれませんけど。)
この本の後半(2/3)は、面接の事例(逐語録)が多く載っているのですが、これも「試験対策」という意味だとかえって混乱してしまうかもしれません。
と思うのには根拠がありまして。
実は、見様見真似で、この本にある流れでロープレをやってみたところ、かなり批判的な指摘をオブザーバーの方から受けました。
「基本を疎かにしているし、それだと受からない。自己流はやめた方がいい」
なんて言われて、
(JCDAの立野さんの本に書いてあってったんだけどなぁ)
と思いましたが、そんなこと言えなくて、
「一応、JCDAで受けたいと思っているんですけど、どうしたらいいんですかね?」
とアドバイスを求めたら、
「だったら、もっと「気持ち」を聴くようにしてみてください」
と言われちゃいました。
たぶん、その頃から、
「JCDA=気持ちを聴かなければ試験に受からない団体」
と思ってしまったんだと。
それだけではないですが、CC協議会に受験団体を決めた一つの要因だった気はしています。
本としては受験から合格後の実務においても長く使えるものだと思います。
それぐらい、ちょいムズですが、良い本でした。
あ、まだ、合格しているか分からないボクに言うのも説得力ないかも。