<共感はデジタルで育たない>【参考本】共感力を育む: デジタル時代の子育て UnSelfie

参考本
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キャリアコンサルタント養成学校で習った「共感」は、昔からあるスキルです。

でも、これって、いまも通じるのか?

現在の「デジタル社会」で役に立つのか? 活かせるのか? どう育てれば良いか?

……そんなことキャリアコンサルタント試験に合格してからぼんやりと考えていました。

そんなヒントになるのがこちらの本にありました。

 

翻訳本ですが、かなり日本の事情も加味していました。

例えば、P10には「日本の子育てに特有な課題」について記載があり、いじめ、特にネットでのいじめ、親との触れ合う時間の減少、若者の精神的疾患の増加などなど

また、原書の著者は日本に来たことがあるそうで、そういう意味でも、いわゆる「外国本の輸入」じゃなかったです。

ちなみに、副題の「UnSelfie(アン・セルフィ)」の

 「セルフィ」とは「自撮り」

ということです。スマホのようにデジタル機器が誰にも身近になっている現代で、

 セルフィが流行った結果、自己中心文化に生きている現代の子どもの共感力がどんどん低下している

という現実。

「だからといって、デジタル機器を取り上げるのはムリだから、こうしたらどうかな」っていうのがこの本の概要でした。

お子さんがいたり、教育分野で働いている方、働こうとしている方には、とってもおすすめの本です。

 

目次と概要

ひとなる書房より2021年10月10日に初版が出版されました。

著者は、「ミシェル・ボーバ」という方でして、その方の日本語翻訳本となります。

ひとなる書房っていうのは、はじめて聞いたので、調べてみると子育てに関していろいろ本を出している出版社でした。

で、目次はこんな感じです。

目次

はじめに なぜ共感力が決定的に重要なのか

第Ⅰ部 共感力を発達させる
第1章 共感力のある子は人の気持ちが分かる
第2章 共感力のある子は道徳的自己認識がある
第3章 共感力のある子はほかの人の必要が分かる
第4章 共感力のある子は道徳的想像力がある

第Ⅱ部 共感力の練習をする
第5章 共感力のある子は冷静を保てる
第6章 共感力のある子は親切を実行する
第7章 共感力のある子は「あの人たち」ではなく「私たち」と考える

第Ⅲ部 共感力に生きる
第8章 共感力のある子は断固たる態度をとる
第9章 共感力のある子は変革をもたらしたいと思う

おわりに 共感力の特典
     ―子どもを実り多き人生に導く7つの創造的な方法―

訳者解説 道徳教育についての考察

 

すげー。

全部の項目に「共感力」というのが含まれているなんて、どれだけ、「共感力に力を入れているんだ」って思いますよね。

こちらの本は、子育て中の方にはとても参考になります。

が、最初に言っておきますと、和訳本なので、例として外国でのケースが多いです。

なので、参考になるところそうでないところが、残念ながらあります。

でも、それを考慮しても、具体的な方策が子どもの年齢別に細かく分類されており、参考になるところも多くありました。

もし、立ち読みができるのであれば、

 P8~12
 P26~30
 P38~42
 P114~124

あたりをざっと見て、それこそこの本に「共感」できるのであれば、「買い」だと思います。

ちなみに、こういう本って、

言いたいことは分かったけど、で、結局どうすればいいの?

というパターンが結構ありましたが、この本では、「どうすればいいの」が明確に書いています。

これも、もし立ち読みできるのであれば、ボクのおすすめというか参考になったのは、次のページですので、読んでみると買うかどうかの判断になると思います。

 P55~57
 P76~80
 P130~133
 P186~189

 

全310ページもあるので、なかなか読みごたえもあり、ボクは1週間かけてじっくり読みました。

  

強烈に印象的だった一文をあげると……

この本で1つだけ感銘を受けた文章をあげるとしたら、こちらです。

中国の諺に「子どもに与えられた人生は一片の紙のようなもので、行き交う人すべてが何か印をつけていく」という、素晴らしいものがある。

P294

みなさんはどうですか?

振り返ってみてください。

あなた自身、これまでの人生で、良い出会いもそうではない出会いもあったでしょう?

でも、それらは、全てあなたの「心のノート」には刻まれていると思います。

その「心のノート」のようなものは、子どもにも生まれた瞬間からあるっていう話なんですけど、そう考えると、いまの子供は、デジタルでいろんな人との出会いがあります。

ボクらが幼かったころよりも、たくさんの出会いをしていると思うんです。

この本を読んでから、現代の子どもを育てたり、接するときに、ボクはこの諺、忘れないようにしています。

 

では、ここでクエスチョンです

共感は何と何を合わせた結びつきで育まれるかわかりますか?

答えはP284にあるのですが、そういう発想はボクにはありませんでした。

いまの子どもたちは生まれた時からデジタル機器に囲まれています。その結果、話すよりもメールやSNSで情報伝達することになれていますし、ボクら大人でも、話すよりもその方が楽だと感じてついついそれに流されしまいます。

デジタルでオンラインでも人と接することはできますが、そうじゃないことによる効果、そんなことがP284に書いてありました。

だから、P285以降で、「デジタル機器によらないゲームをしよう」っていう話になるのですが、このあたりを読んでいくと、バランスが大切だということを痛感しました。

受験生にはちょっと難しい本かもしれませんが、面接実技試験が終わったら、読んでみると、いままでの学びの集大成になるかもしれませんよ。

  

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