以前、ハローワークの訓練前事前キャリアコンサルティングを受けた際、ステキな先輩のキャリアコンサルタントと出合いました。
そこで、
「キャリアコンサルタントになりたいです!」
と伝えて、ご紹介いただいた本がありました。
さっそく、読み始めること1週間。
ようやく読み終えたので、みなさんにもご紹介します。
ちなみに、「キャリアコンサルト」の概要ならこちらの本。
そのあと、さらに、もう一歩踏み込んだ情報を知りたくなったら、こちらの本も。
それから、試験を少し意識した本だとこちら。
そして、今回の本も、ぜひ、みなさんにもご紹介したいものとなりますので、早速、お伝えします。
目次と概要
2015年4月4日に第1版が、プレジデント社より発行された本です。
読んでみると、なぜ、初学者のボクにこれを勧めてくれたのかが分かりました。
ざっとですが、この本の構成です。
目次
はじめに
第1章 なぜ企業は社員のやる気を大切にするのか
1-1 やる気(内発的動機)とは何か?
第2章 難しいのは機会の与え方と支援
2-1 何もできない相手にはどう対処すべきか
2-2 どんな機会を与えるべきか
2-3 意欲を継続させるためのメンテナンス
2-4 見通しで、仕事を楽しくする
2-5 「思う存分やってくれ」ではなぜだめなのか
2-6 階段を刻み、踊り場で遊ばせる
コラム それでも部下がやる気を出してくれないときは
第3章 組織をイキイキとさせる古典的理論
3-1 部長と課長と係長の役割分担ができているか?
3-2 「任せたよ」「ほい来た」の上下関係はどうつくるか
第4章 指令や判断の根源がコア・コンピタンス
4-1 事業内容とコア-コンピタンスはまったく別物
4-2 本当の強みを知る
第5章 見栄えのいいメソッドよりも錆びない基礎理論を
5-1 「階段を刻み」「その先が見える」日本型組織
5-2 課長たちよ、マネジメントの王国を築け!
おわりに
解説 守島基博
参考文献
この手の本では6章構成が多いのですが、ちょっと少なく5章構成です。
ただ、各章、とっても内容が濃く、10章構成になっているんじゃないかと思うぐらいの読みごたえがありました。
そして、先輩のキャリアコンサルタントの方が、この本をなぜボクに進めてくれたのかは、読破後に、じーんと伝わってきました。
結論から先に行っちゃうと、それは、「マネジメントの基礎理論」を学ぶ重要性がこの本に書いてあったからです。
著者は海老原嗣生(えびはらつぐお)さん
著者は、そう、「海老原嗣生」さん。
さらに、本の最後の解説はあの「守島基博」です。
……といっても、ボクはこの本で、お二人を初めて知ったのですが。
気になって調べると、海老原嗣生さんは雇用ジャーナリストでした。詳細は、次のホームページが参考になると思います。現在も、そこで記事を投稿されているようです。
そして、「守島基博」さんですが、学習院大学で経済学部経営学科の教授をされており、一橋大学の名誉教授だそうです。さらに知りたい方は、こちらのサイトが詳しくて分かりやすかったですよ。
いままでは現役のキャリアコンサルタントの方の本を読んでいたのですが、今回はマネジメント論の専門家の本となります。
ただ、初学者のボクに対して進めてくれただけに、簡単すぎず、難しすぎずの内容でした。
考えながら読み進めるにはとても読み応えのある本でした。
強烈に印象的だった一文をあげると……
この本で1つだけ感銘を受けた文章をあげるとしたら、こちらです。
ところが、「人を教えて」「指導する」という役割の上司には、何の準備も勉強もせず、いきなり指名されてなってしまいます。
P1
たぶん、最短時間で感銘を受けた本となります。
ページめくって、6行目ぐらいに目に飛び込んだ一文なんで。
他にも本文中にあったのですが、ボク自身が管理職をしていたので(もうやめちゃったけど)、ものすごく共感する箇所が多数ありました。
簡単に言ってしまうと、
「勉強や準備もなしに、管理職を経験や勘でがんばっている人が多いけど、理論があるので、それを学ぶことが大切だ」
ってことです。
その一方で、理論を説明しつつも、
現実のマネジメントは、まったくこのとおりにはいきません(P18)
と言い切っちゃうのが、むしろ共感できるところでもありました。
この本は、会社員経験があり、リーダーか課長あたりを経験されると、例えがすごく身に染みて分かります。そのあと、すかさず、「マズローの欲求段階説」の説明になったりするので、納得感がハンパないです。
マクレガーのXY理論も同じく、それが提言された時代背景の説明があったりと、ただ覚えるのではなく、理解して自然と頭に入ってくるような感じでした。
また、会社側の立ち位置ではなく、従業員側の立ち位置で書かれており、
「会社が個人の内発的動機を高めなくて、誰がやるの?」(P23)
といったことがボンボン出てきます。
非常に現実的であり、ときどき、スカッとする説明が多くあるんです。
では、ここでクエスチョンです
どうしていまの中間管理職の仕事が膨大な量となってしまったのでしょうか?
この答え、P108に掲載されています。
結果として、みなさんの周りの管理職の方は、なぜだかものすごく忙しそうにしている方が多くいると思います。(仕事をしないで時間をつぶしているだけのバカ管理職の方も中には見かけるかもしれませんが。)
実際に、管理職になると
「管理職になったんだから仕方ないか」
「管理職の手当が付いているから、我慢しないと」
のどちらかで、グッと我慢するケースが多いのです。
さらに、中間管理職に潰れてしまうと先ほどのバカ管理職(直属の上司の管理職)は困るので、こんな言葉で揺さぶってきたりします。
「きみは、出世できただけでも、勝ち組なんだぞ」
って。
でも、これは間違いです。
一度経験してみると分かるのですが、本来は勝ち負けなんてないものの、あえて、勝ち負けでいうと、
管理職になることは負け組
です。
……という見解は、「マネジメントの基礎理論」を学ぶ機会がなかった(ない)からだったのかも。
そういうふうに感じた一冊でした。
読み物としても面白かったのですが、それに加えて、日本の三隅二不二をはじめ、
アブラハム・マズロー
フレデリック・ハーズバーグ
エドウィン・ロック
リチャード・ハックマン
グレッグ・オールダム
フレッド・フィドラー
ヘンリー・マリー
スティーブン・コヴィー
エルトン・メイヨー
フリッツ・レスリスバーガー
マイケル・ポーター
ゲイリー・ハメル
C・K・プラハラード
……といった理論を学ぶことができました。
試験対策で覚えろっていうより、こういう背景だったりストーリー形式の方が記憶に残るので、養成学校のテキストを見る前に、全体の理論をざっと知ることができて、とても勉強になりました。
この本を勧めてくれたキャリアコンサルタントの先輩、ありがとうございました!